専門用語集


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******* 以下本文 *********

『私、打越さんにお礼がしたいんです。もし…あの時に打越さんに出逢っていなかったら、どうなっていた事か・・・』 
「そ、そんな大袈裟な…こちらは“ついで”にお送りしただけですから、お気持ちだけで結構ですよ!!」 
 
瞳を潤ませ、私を見つめながら詰め寄る彼女にそう答えました。 
 
『それでは私の気持ちが納まらないんです。身内の上の者にも《受けた恩は返さなくてはいけない》と申し遣っていますので…』 
「いや、それならそれで“返し方”って有るでしょう?」 
『私の事、お嫌ですか?』 
「イヤも何も、そんな親しい訳でもないでしょう?」 
『奥様がいらっしゃるのでは娶って頂く訳にもいきませんし、お情けも頂けないのであれば帰れません……』 
「お・お情け…え?」 
『私の“操”以外に、御恩に報いる術が思い付きません。お願いです、貰って…下さいっ……』 
 
彼女はそう言うと、次の瞬間私の胸元に抱き付いて来ました。 
 
 
私の右頬に、彼女の濡れた髪が当たっていました。 
濡れた髪から立ちのぼる熱気のような彼女の体臭が鼻腔を刺激します… 
右の肩口に興奮したような熱い吐息が当たります… 
脇腹に彼女の体温と…激しく鼓動を打ちながら柔らかく揺れ潰れる乳房と、衣服越しでも判るほどに硬く尖った先端が当たります。 
 
脳裏に先ほどの彼女の裸体が浮かび上がり…その誘惑に、微かに震える少女を抱き締めて仕舞いそうになります。 
 
「馬鹿なこと言うんじゃないよ…」 
 
彼女の両肩に優しく手を置き、そっと体を離しながら…某アニメの主人公の様にそう呟いていました。 
 
「困ったな。兎に角、そう云うお礼を受け取るつもりは無いよ…どうしてもって言うなら、何か別の方法を考えてから来なさい。ね?」 
 
幼い子供を諭すような、絞り出すような…そんな私の言葉をじっと聞いていた彼女が、小さく頷くと体を離しました。 
 
『解りました…でも、お礼がしたいのは本当なんです。決して世迷い事を言っている訳ではありませんから。』 
「解ってくれた……かな?」 
『はいっ、打越さんが困るのは嫌ですから。』 
 
憑き物が落ちたように明るく微笑む彼女の幼さの残る表情を見て、自分の理性が誇らしいような少し残念なような(苦笑)…そんな複雑な心中で笑い返したのでした。 
次の瞬間━━━ 
 
《ズド━━━━ン!!ドロロロ・・・》 
 
『きゃぅッ!!』 
「うぉッ!!」 
 
同時に叫んでしまうような稲光と、床下から響くような雷鳴が家全体を揺らすと同時に目の前が真っ暗になってしまいました。 
 
「……停電?か…近くの変電所に雷が落ちたみたいですね。」 
『…………』 
 
目の前にいるはずの彼女に声を掛けますが返事がありません。 
 
「鹿野さん?大丈夫ですか?」 
 
暗闇に目が慣れていないので、なぜ彼女の返事がないのかが解りません。 
“まさか驚いて昏倒しているのでは?”と、しゃがみ込んで彼女が居たはずの場所を手探りしてみますが…壁と冷たい廊下のフローリングの手触りしか有りませんでした。 
 
「鹿野さん?鹿野さん、どこです?大丈夫ですか?」 
 
なんとか壁伝いにリビングまで行き、コンセントに挿してあった非常灯を手にして彼女を探しました。 
まずバスルームに向かいました。浴室にも脱衣所にも姿はありません。 
玄関も勝手口も施錠され、トイレ・キッチン・洋間・和室・クローゼット…非常灯の明かりを頼りにすべての部屋を回りましたが、彼女の姿はどの部屋にも在りません。 
彼女を探している途中から、首の後ろ辺りがムズムズするような変な感覚が背後を付いて回り…何度も振り向いてしまいます。 
 
「おいおい…冗談だろ?オカルトか…たちの悪い白昼夢か?どっちにしてもヤバいだろ……あ!!」
思わず呟いた瞬間、あることに気付き脱衣所に。 
そして恐る恐る衣類乾燥機を開けてみました。 
停電で止まってしまった衣類乾燥機の中には、未乾燥のままの彼女の生温かい服が入っていたのでした

初夏のある日…私は以前怪我をした仔鹿に出逢った場所で、一人の女の子を助けました。 
数日後  
嵐の晩に突然訪ねてきた彼女は、私の目の前で忽然と姿を消してしまったのでした・・・・・ 
 
 
『鹿の恩返し・④』 
 
 
「オカルトでも白昼夢でもない…じゃあ彼女は…何処へ?」 
 
“ピーッ・ピーッ・ピーッ” 
 
停電が復旧し、扉を開けた乾燥機が警告音を鳴らしました。 
明かりの下…自分の手にしている丸くて柔らかい布が彼女の下着だった事に気付き、慌てて乾燥機に放り込むと脱衣所を後にしました。 
 
停電から復旧したとは云え、外は大荒れの台風です。彼女は家のどこかに居る筈。 
もう一度各部屋をチェックしてみました。 
 
(…やっぱり居ない。そもそも人があんな見事に目の前から消えるものだろうか?) 
 
その時。 
 
《ガシャン…》 
 
一瞬風が止んだ時にガレージの方で音が聞こえたような気がしました。 
 
「あ!!…ガレージは見てない。」 
 
室内を調べているうちに雨は峠を越したようで小降りになっていました。 
小走りにガレージへ行ってみると、消した筈の明かりが灯っています。 
 
「鹿野さん…鹿野さん、居ますか?」 
『う・打越さんっ!? あ、はい居ます。私です。』 
 
しどろもどろながら彼女の声がガレージの中から聞こえてきました。 
 
「急に居なくなるからビックリしましたよ。なんでガレージになんか居るん…」《ガシャ》 
 
ガレージの中に入ろうとすると、内側からロックが掛かっています。 
 
「?…鹿野さん、なんでロック掛けてるんです?開けて下さい。」 
 
困った事に鍵は先ほど工房の机の上に置いて来てしまって、今は外から開ける事が出来ません。 
 
「あの…そこにはお客さんに預かった物とかも置いてあるんで、私を入れるか…そうでなければ出て来て欲しいんですけど・・・」 
『でも…今は…その…は・恥ずかしくて顔を合わせられそうにありません。申し訳ないのですが、少し落ち着くまでココに居させて下さい。』 
「はぁ…恥ずかしくて、ですか。んー分かりました。じゃあ玄関の鍵は開けておきますから、落ち着いたら来て下さいね。」 
『有難う御座います。』 
 
彼女はそう答えると 
 
《カチャリ》 
 
ドアのロックを外しました。その上で、 
 
『我が侭を言ってごめんなさい…鍵は開けておきますけど入って来ないで下さいね?』 
「男に二言はないですよ。でもアレだ、まるで昔話の“鶴の恩返し”みたいですね。」 
『・・・・・・・』 
「鹿野さん?」 
『あ、いえ何でもありません!!では少ししたら伺います。』 
 
 
 
妙な“間”に軽い違和感を感じたものの彼女をガレージに残し、私はキッチンで一息着いていました。 
   
   
ふと気付くと、私は霧に煙る中…あのダムの駐車場に立っていました。 
 
(あーこれは…夢だな。) 
 
ボンヤリとですが“今自分は夢を観ているのだ”と云う実感がありました。 
と…  
ダムの向こう側に鹿の母子連れが姿を現しました。  
二匹の鹿は私を“ジーッ”と見つめて居ましたが、やがて仔鹿の方だけが私の方に歩いてきました。 
(ああ、あの時の仔鹿か。良かった…助かったんだな) 
 
目の前までやって来た仔鹿はそこで歩みを止めて座り込むと、あの日と同じように私を“ジーッ”と見上げてきました。 
愛おしさを感じ…頭を撫でようと手を延ばせば、仔鹿は目を細めながらも逃げる素振りも見せずに手の匂いを嗅いで来ます。  
そして・・・・ 
  
《ガブリッ!!》  
 
 
「ぅ熱づッ!!!!」  
  
  
フィルターまで灰が伸びてしまったタバコが、指の間からポトリとフローリングの床に落ちました。 
 
「あッ!!火…」 
 
慌てて拾い上げると既に火種は燃え尽きていました。  
  
『クスクス…』 
 
笑い声に顔を上げると、濡れ雑巾を手に落ちたタバコの灰を拭いている私を見ている彼女が居ました。 
 
「笑わないで下さいよw」 
『いけませんか?』 
「まぁ…たしかに笑えるか(苦笑)」 
『ですよw』 
 
和やかな雰囲気が流れましたが、彼女は色を正すと床に両膝を落とし深々と頭を下げました。 
 
「鹿野さん?」 
『打越様…先ほどは失礼致しました。』  
  
ふと見ると彼女の指先にうっすらと血が滲んでいます。  
  
「鹿野さん、血が?怪我をしたんですか!?」  
『お礼に伺いながら無礼の数々、どうかお赦し下さい。』 
 
私の声に耳を貸さず、彼女は言葉を続けました。 
その時…袖を折った彼女の両の二の腕に、大きな傷があるのが目に留まりました。  
  
「君は…」 
『貴方のお陰で命をつなげる事が出来ました鹿で御座います。』 
「………」 
『驚かれませんか?』 
「うん…何となく…そんな事もあるんだなって、そんな感じ・・・」 
『でしたら…これをお納め下さい。』 
  
彼女はそう言うと、私の前に黒い物を差し出しました。  
よく見ると、それはリールのノブでした。 
 
「これは?」  
『貴方様の工房で、牡鹿の角より造られた物を見ました。でも私に角は有りません…代わりに“蹄”にて同じ物を・・・』  
  
「バカだなぁ…」  
『え…っ』  
  
私の声に頭を上げた彼女を、私はしゃがんでそっと抱き締めていました。 
 
「助かったんなら最初からそう言えば良かったんだ。見返りを求めてた訳じゃないんだから。」 
『…はい』  
「痛くないか?指先…」  
『大丈夫です……有難う御座います。』  
「うん・うん…」  
  
声に出さず震えながら涙する彼女を抱き締めながら、私も泣きながら黙って背中をポンポンと軽くたたき続けたのでした。  
そんな嵐の夜でした。  
  
  
  
  
『打越様ぁ~♪』  
「やぁ鹿野ちゃん久し振り♪」  
『もう、いい加減に“ちゃん”は止して下さいよw子供だって産んでるんですから』  
「でも、いつ会っても鹿野ちゃん別嬪さんだよなぁ…あの時、我慢するんじゃなかったよ(笑)」  
『私なら今だって構いませんよ?』  
「あ・ホント?w」  
『ンもう・奥様に言いつけますよ?それでも良ければどうぞ♪』 
「わはwそりゃ勘弁して!!」 
 
 
 
あの一夜以来、奥秩父に独りで入山すると彼女が訪ねて来るようになりました。 
気心が知れていれば相手が鹿の化身だって構わないと思いませんか? 
地図にも載っていないような、手付かずの沢だってガイドしてくれますし…美人のガイドさんは目の保養にも・・・w 
 
 
ウチのカミさんにバレないのかって? 
実はバレてます(笑) 
でも平気なんです。 
何故平気なのかって? 
 
ココだけの話… 
ウチのカミさんとの馴れ初めってのは、丹沢で車に跳ねられたタヌキを助け・・・(爆) 
 
『打越様…どうかしたんですか?』 
「いや、何でもないよ♪行こうか?」 
『はいッ♪今日はこの前と違う水場に案内しますね。』  
「宜しくお願いしま~す♪あ、お手柔らかにね?(汗)」  
『は~い♪』 
 
 
鹿の恩返しは現在進行中ですw 
 
うん♪山は良い!!(笑) 






*********** おしまい★ **************





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えー… 件(笑)
【2010/04/16 00:55】 URL | かずちん #bLNrjBuk[ 編集]
官能小説かと期待してました(笑)

大きな声では言えないが・・・オラの嫁はキツネだっぺ!(爆)
【2010/04/16 01:14】 URL | cami #-[ 編集]
■カズ

そうねw

■cami様

マジですか!!>キツネ
今度是非お会いしたいもんです・・・
【2010/04/16 20:59】 URL | OHULS #-[ 編集]
camiさん、官能小説じゃなくてゴメンナサイ(笑) 
 
『公開しますw』って云われてヘタレましたm(_ _)m 
 
【2010/04/18 00:17】 URL | 晒し首w( ・・)/ #JalddpaA[ 編集]
>晒し首w( ・・)/さん、続編で期待してますょ(笑)

鹿野ちゃんのお母さんが登場して、もつれあう三角関係ですな(爆
【2010/04/20 04:22】 URL | cami #-[ 編集]














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